理事長あいさつ

理事長あいさつ(現理事長)

みなさま、はじめまして。一般社団法人日本看護倫理学会法人化第3期理事長を拝命した前田樹海と申します。2年間の任期中、本学会および看護倫理学の発展のために最大限尽力するつもりです。どうぞよろしくお願いします。
本学会は「看護倫理の知の体系化を図り看護倫理に関心をもつ実践者・研究者・教育者等の交流に努め、看護倫理に関する提言を行うことを目的とする(定款第3条)」団体です。ざっくり言えば、実践者・研究者・教育者らが協力して看護倫理学の知を生成、蓄積し、それら生成された知を実践、検証、教授し、社会還元していくことを目的としているわけで、実践者・研究者・教育者・社会が看護倫理の知という横糸でつながるための役割を本学会は担っていると考えています。
知を生み出す方法にはさまざまありますが、実践の科学である看護においては、臨床実践や教育実践で経験した事例をもとに仮説を生成する帰納的な流れと、その仮説を実践に適用して仮説自体の確度を高めていく演繹的な流れが不可欠です。いずれの流れにおいても臨床や教育の場で実践をしている方々のコミットなくして看護倫理の知の体系化は困難と言えましょう。
そこで、法人第3期においては、かかる実践に携わる方々がより気軽に看護倫理の知の生成過程に関わることができることを大きな柱のひとつに据えました。たとえば、実践経験を幅広く共有するために日本看護倫理学会誌の論文種として事例報告・実践報告を独立させることや、研究に必要な資金や助言を得られるための研究助成制度を創始すること、研究倫理審査委員会(IRB)をもたない組織に所属している会員が研究倫理審査を受けられるようにするための学会IRBを立ち上げること、年次大会の抄録データベースを作成することなどが、いま理事会で検討されています。
また、社会還元活動の一環として実施されてきた研修会は、3年ぶりに対面で行なわれることになり、知識の普及はもちろんのこと、参加者同士の交流という点においても年次大会と並び、学会の目的の具現化に貢献するものと考えています。また、今期新たに立ち上げた委員会においては、本学会の新機軸となるであろう事業を検討している最中です。報告できる段階になったらこの場でご紹介したいと思いますのでどうぞご期待ください。
さて、日本看護倫理学会は2008年に創設されて以来、今年で16年目となります。その間、会員のみなさまや関連団体のみなさまのおかげをもちまして学術団体として成長させていただき、いまでは会員数800名を超える規模となりました。しかし、看護倫理学が看護界全体に寄与できる学問であることを考慮すれば、伸び代はもっとあると考えています。そのためには本会の趣旨に賛同し協力していただける方々に本会に入会していただき看護倫理学の輪をさらに拡げていくことが必要です。
今後、この学会を構成する会員の力で、学問としての看護倫理学を発展させていくためのサポートと、会員のみなさんが意見交換や交流できる場の提供、看護倫理学を専門分野とする学術団体の立場から社会に対して提言を行なうという本学会の使命を強力に推進していく所存ですのでご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

2023年7月
一般社団法人 日本看護倫理学会理事長:前田 樹海